今、俺のアゴには傷跡がある。正面からは見えない位置だし、髭のせいもあって、言わなければ他の人には全くわからないだろう。この傷跡はついこの間まで無かった。ケガをしたのは4月9日のことだった。
その前の週に大渚山に行ったときに、「来週、蓮華温泉に行かへん?」と誘われた。蓮華温泉は昨年のゴールデンウィークに朝日岳・雪倉山に行ったときに泊まったのだが、その時は宿に帰るとクタクタで露天風呂にまで行く気力がなかった。二週続けてのツアーに体力的に不安もあったが、せっかく個人的に誘ってもらったのだし(注:俺が行っているスキーツアーは、ほとんどクラブの例会)行けるときに行っておかなきゃと言うことで参加することにした。
事前にもらった予定は以下のとおり。メンバーはOver40の○○男4人。
4月8日 京都駅〜北陸自動車道〜糸魚川
4月9日 栂池スキー場前駐車場(仮眠)
ゴンドラ〜村営栂池山荘〜天狗原〜
白馬乗鞍岳〜天狗の庭〜蓮華温泉
4月10日 蓮華温泉〜ヤッホー平〜角小屋峠〜
木地屋〜(タクシー)〜平岩〜
栂池高原スキー場〜糸魚川〜
北陸自動車道〜京都
9日朝、快晴。 登りは栂池高原スキー場のロープウェイが動いていたので1時間ほど助かった。スキーやボードのお客はお断りとの噂も聞いていたのだが別段咎められることもなかった。天狗原で一休み。去年は飛んでいたヘリコプターはちょうど営業期間の狭間だったようで飛んでいなかった。俺は二回目なので良くわからなかったが今年はやはり雪が多いそうだ。休憩の後、白馬乗鞍を登る。今回のツアーでは最大の登りなのだが適度に風もあったせいなのか、そんなに苦にならなかった。
山頂から天狗の庭を経由して尾根沿いに蓮華温泉に下降する。その前の週の大渚山でもそうだったのだが、ターンがうまくできない。技術があればそうでもないのだろうが、俺の技量ではこの季節の雪にピステパイプは使い切れないようだ。ワンターン、ワンターン慎重に降りていくがそれでも何度も転けた。そのうち樹林帯に入った。うまく滑れないのでみんなからどんどん遅れていく。傾斜が緩やかになったところでビーコン講習をしている他のパーティーを横目に見ながら、みんなに追いつこうと転けながらも滑っていく。
途中、急にスキーがストップした。木に引っ掛かったせいなのか、雪質が急に変わったせいなのか、エッジをかけてしまったのか、今となっては原因は良くわからない。が、その結果前のめりに転けてスキーのトップで胸からアゴの辺りを打ってしまった。体が前に投げ出された形になったので体に受けた衝撃は大きかったが、痛みを感じるところはなかったので起き上がろうとした。が、顎から首にかけて何かで濡れている感触が。下を見ると白い雪の上に赤い染みがポツポツと… エッジで顎を切ってしまったのだ。そうこうしている間にもアゴから血がポタポタと垂れてくる。顔は小さなキズでも出血が多いことは知っていたし冷静になろうとするのだが、どの程度のキズなのかが自分では確認できないし、焦ってなかなか起きあがれない。随分長い間雪の上でもがいていたような気がするが、なんとか立ち上がってみんなの居るところまで追いついた。
診てもらうと、長さ1 cm、深さ5 mm程度のキズらしい。アウターやスキーパンツにも血が付いているし、シャツの襟は当然血まみれ(^_^; 顎髭のせいで絆創膏が貼りにくかったのだが、傷口を水で洗った後なんとか両側から引っぱってくっつける形で張ってもらった。それでも心配なので三角巾でアゴを固定して滑った。ちょうど歯痛の時にするように頭の上で縛って。(実際にはそんなヤツ見たこと無いが)
それからは斜滑降とキックターンの連続で何とか蓮華温泉まで着いた。途中、荷物を持ってもらったのだが俺の荷物は他の人よりも重いことが判明。それも疲労の原因だったのかもしれない。パッキング下手だからなあ…
宿についてから、消毒しないといけないという話もでたのだが、「新しい創傷治療」のことを思い出してそれは拒否して免れた。血糊は残ってはいたが、出血は止まっていたので髭を出来るだけ剃って、傷口付近ははさみで切って絆創膏を貼り直してもらい、おとなしくしていた。もちろん露天風呂は自粛。内風呂は出血しない程度に入ったけど。アルコール類も禁止。
一番おそれていたのは、自分のせいでせっかくのツアーが中止になること。それは避けられたので一安心だった。
翌日朝にもう一度絆創膏を貼り替えてもらい、ツアーに出発。昼から天気が崩れると言う話もあったのだが、曇りはしたものの何とか最後まで保ってくれて木地屋までのツアーは終了。
帰りに「道の駅小谷」で温泉に入ったが、もう出血はしなかった。Kさんにもう一度絆創膏を貼り替えてもらったところ、傷口はくっついていて完全に血は止まっているとのこと。でも、念のために医者に行くように念を押された。
帰って次の日、髭を剃ってから病院に行ったのだが、こちらが指で示さないとわかってもらえないぐらいに傷口はふさがっていたようだ(自分で鏡では良く見えない位置なので)。なぜこんなささいなキズで来たのかと言われんばかりの雰囲気で、「いやあ、仲間が念のために病院に行っておけと、うるさいもんで(^_^;」と言い訳しなくてはいけないほどだった。少しキズの合わさり方がずれていてひっつれてはいるが、そのまま放っておいても大丈夫という診断だった。診察はホントに瞬間的に終わってしまった。いつも生傷が絶えないであろう、京大のギャングスターズが来るような病院だったからそんな扱いだったんだろうか? 他の病院ならもう一度傷口を広げて縫い直しなんて言うことになったんだろうか? もしそうだとしても、そんな痛い目にあうのは遠慮しておきたいが…
今回、的確な応急処置をしてもらったおかげで、本当に助かった。あれだけ血が出ていたので心配もかけただろう。Fさん、Kさん、Hさん、本当にありがとうございましたm(__)m これからも懲りずにツアーに連れて行ってやってください。
《教訓》
- 幸い必要にならなかったが、健康保険証の写しを持っていくのを忘れていた。忘れたときに限ってケガをするものだ。これからは必ず携行すること。
- 止血用にバンドエイド・クイックヘルプも持っていくこと。例によってキズパワーパッドは救急セットに入っていたのだが、出血のひどいときは使い物にならない。また、手を血まみれにしながら応急処置してもらったようなので、感染症のことを考えるとゴム手袋なども必要なのかもしれない。
- 荷物の軽量化に心がけること。
- 雪質にあった板を持っていくこと。と言っても、これだけはおいそれと何種類も揃えられるようなものではないので、やっぱり技術の向上なのかなあ。
キズのその後だが、シコリのようになっていて触れるとまだ少々痛みがある。傷跡は消えないだろうが最初に書いたように正面から見てもわからない位置にあるし、髭をはやしていれば他の人には、まあわからない。
アゴに傷持つ男ってハードボイルド風で良いんじゃないか?(。_・☆\ ベキバキ
そう言えば今回蓮華温泉で髭を剃った時、その方が若く見えて男前やん、と言われてしまった。髭のせいで軽傷で済んだと言うことでもなさそうだし。どちらかというと治療には邪魔だった。はやさない方が良いんだろうか?(^_^;
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